症例紹介

【皮膚科】犬のマラセチア性皮膚炎治療|つくば市のうめぞの動物病院

皮膚科・耳科

茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、なかなか治らない繰り返すマラセチア性皮膚炎や外耳炎について、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。
当院では、犬のマラセチア性皮膚炎や外耳炎の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。

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【症例】

チワワ、3歳、避妊メス

【これまでの経過】

春や秋などの季節の変わり目に皮膚炎や外耳炎になっていました。
その際には、痒み止めの内服や、外用薬での対症療法で改善して、季節が変わると落ち着いていたようです。
しかし、1年ほど前から、1年中全身の皮膚炎や外耳炎が起きていたようです。
皮膚検査で、マラセチアが検出されてマラセチア性皮膚炎と診断されていました。
マラセチア性皮膚炎に対しては、抗真菌作用のある薬用シャンプーが処方されていました。
また、抗生剤の内服薬以外に、痒み止めの内服薬を3種類 (アポキル、ステロイド、シクロスポリン)処方されてもマラセチア性皮膚炎が改善されないため当院にセカンドオピニオンで来院されました。





【診断のポイント】

当院でも皮膚検査を実施した結果、マラセチアが多数検出されました。
そのため、マラセチア性皮膚炎と診断しました。
『繰り返すマラセチア性皮膚炎』の『根本的な原因』はマラセチアだけではありません。
『繰り返すマラセチア性皮膚炎』の『根本的な原因』は
①    アトピー
②    食物アレルギー
③    脂漏症
④    ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)


などが挙げられます。
そのため、今回のようにマラセチア性皮膚炎を繰り返し起こしている場合には、マラセチアに対しての抗真菌剤や、抗真菌作用のある薬用シャンプーを用いた治療だけを行うのではなく、マラセチア性皮膚炎の『根本的な原因』を見つけて、その『根本的な原因』も治療する必要があります。

はじめは、季節の変り目に皮膚炎や外耳炎を繰り返していて、痒み止めの内服や、一般的な外耳炎の外用薬を使用すると、皮膚炎や外耳炎は改善して、季節が変わると皮膚や耳の症状は落ち着いていたようです。
そのため、季節の変わり目に発生していた皮膚炎や、外耳炎は「アトピー性皮膚炎」や「アトピー性外耳炎」が考えられました。今回は、今まで使用していた痒み止め以外にも、さらに痒み止めの種類を増やしても、全身のマラセチア性皮膚や外耳炎が改善せず、発赤や赤みが続いていました。
「アトピー」以外の『マラセチア性皮膚炎の根本的な原因』を調べました。
かかりつけの病院で処方されていた、痒み止めを一定期間休薬してから、食物アレルギー用の血液検査を実施しました。
その結果、「食物アレルギー」も併発していることがわかりました。
また、このワンちゃんは若齢のため甲状腺機能低下症などのホルモンバランス崩れの可能性は低いため、甲状腺ホルモンは検査しませんでした。

【治療】

基礎疾患である「食物アレルギー」に対してはアレルギー食を使用しました。
また、「アトピー性皮膚炎」、「アトピー性外耳炎」に対しては、痒み止めの内服薬や、痒み止めの外用薬を使用しました。
マラセチア性皮膚炎に対しては、抗真菌作用のある薬用シャンプーを使用しました。
2か月後には、マラセチア性皮膚炎や外耳炎の症状は改善しました。





今回のマラセチア性皮膚炎のワンちゃんは元々、季節の変り目に皮膚炎や、外耳炎を起こしていました。その際には、痒み止めの内服や、外用薬を用いることで一旦は症状は改善していました。
しかし、1年前より1年中マラセチア性皮膚炎や外耳炎が続いていて、複数の痒み止めの内服を使用しても、症状が改善していませんでした。
そのため、「食物アレルギー」の併発が考えられました。
アポキルや、ステロイドの痒み止めの内服をしている間は、正確な診断ができないため、痒み止めを一定期間休薬した後に、食物アレルギーの血液検査を実施しました。
その結果、「食物アレルギー」が基礎疾患でマラセチア性皮膚炎や外耳炎を引き起こしていることがわかりました。
「食物アレルギー」に対する食事療法を開始して、アトピー性皮膚炎、アトピー性外耳炎に対して痒み止めの内服や外用薬を使用しました。
また、皮膚炎が落ち着くまでは最初は抗真菌作用のある薬用シャンプーを用いました。
その結果、現在、耳や皮膚の状態は落ち着いています。
現在は、「食物アレルギー」に対する食事療法と、アトピー性皮膚炎に対する注射(サイトポイント)を実施するだけで症状は落ち着いていて、抗真菌作用のある薬用シャンプーは使用しなくてもよくなりました。

今回のワンちゃんのように、はじめはアトピーが原因で、季節の変わり目に皮膚炎や外耳炎を起こしていて、その際に一時的に痒み止めの内服や、外耳炎に対する外用薬(点耳薬)を用いて治療すると良化するワンちゃんは多いです。
その後、今までのように痒み止めの内服や外用薬(点耳薬)を用いて治療していても、マラセチア性皮膚炎や外耳炎を繰り返す場合には、『繰り返すマラセチア性皮膚炎』の『根本的な原因』を見つける必要があります。
『繰り返すマラセチア性皮膚炎』の『根本的な原因』が、アトピー、食物アレルギー、脂漏症、ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症)の場合には、その原因も治療することが大切です。


同じようにマラセチア性皮膚炎や、外耳炎で悩まれている飼い主様は、一度当院までお問合せください。


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