【皮膚科】抗生剤が効かない犬の膿皮症治療|つくば市のうめぞの動物病院
茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、なかなか治らない繰り返す膿皮症について、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。
当院では、犬の膿皮症の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
【症例】
ヨークシャーテリア、9歳、避妊済みメス
【これまでの経過】
4年前から腹部に発疹が出ていて、外耳炎も繰り返していたようです。
腹部の発疹は、検査の結果「膿皮症」と診断されて、抗生剤の内服薬と薬用シャンプー、外耳炎に対しては点耳薬が処方されていました。
膿皮症に関しては、当初は抗生剤の内服で症状が一旦改善していたようですが、「膿皮症」が繰り返すたびに抗生剤の内服を開始して、効果がないと判断した場合には、薬剤感受性試験を実施して、その結果に合わせて抗生剤を変更されていました。ただ、その抗生剤も当初は効果があったようですが、そのうち続けているうちにぶり返して、改善が認められず、背中にも広がってきているため、当院にセカンドオピニオンでご来院されました。
【診断のポイント】
当院で皮膚検査の結果、皮膚病変部に細菌が検出されました。
そのため、膿皮症(細菌性皮膚炎)と診断しました。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は細菌だけではありません。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
① アトピー
② 食物アレルギー
③ ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④ 抗生物質の長期使用による耐性菌
などが挙げられます。
そのため、今回のように膿皮症(細菌性皮膚炎)を繰り返し起こしている場合には、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いた治療を実施しても完治しない場合には、
膿皮症(細菌性皮膚炎)の『根本的な原因』を見つけて、その『根本的な原因』も治療する必要があります。
このワンちゃんは、『外耳炎』も繰り返していることから、
①アトピーや
②食物アレルギー
が基礎疾患として存在(併発)していることが考えられました。
そして、
① アトピーや
②食物アレルギー
の診断・治療をせずに、抗生剤の内服を長期間にわたって内服を続けた結果、
④抗生物質の長期使用による耐性菌の出現
が起きていると考えました。
食物アレルギー用の血液検査を実施して、食物アレルギーと診断しました。
【治療】
腹部全体に広がっていた膿皮症に関しては、膿皮症に対して効果のある薬用シャンプーを使用しまた。
また、食物アレルギー用の血液検査によって、判明している効果のあるアレルギー食を与えました。
除去食試験を実施している際には、かゆみ止めも併用しました。
治療開始してから1カ月半後の写真がこちらです。
1カ月後には、膿皮症も良化して、丘疹も消失しました。
長期間炎症が起きていたため、炎症の痕として色素沈着(黒くなっている部分)は残っています。
また、外耳炎の方は、食事変更をしてまだ1カ月のため、現在追加治療中です。
かかりつけの動物病院では、繰り返す膿皮症に対して、膿皮症の『根本的な原因』を追究せずに、抗生剤の内服を続けて、効果が無くなれば、薬剤感受性試験を実施して、また、その中で効く抗生剤の内服に変更していたようです。
抗生剤の長期使用による耐性菌の出現が起きて、当院にセカンドオピニオンで来院された時には、使える抗生剤の内服がない状態でした。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
① アトピー
② 食物アレルギー
③ ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④ 抗生物質の長期使用による耐性菌
そのため、膿皮症を繰り返している場合には、抗生剤の内服を漫然と繰り返すと、抗生剤が効かない耐性菌を作り出してしまうだけです。
そのため、『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』をしっかりつきとめる必要があります。
同じように膿皮症などの皮膚病で悩まれている飼い主様は、一度当院までお問合せください。