神経科

こんな症状はありませんか?

  • 発作が起きた/頻度が減らない
  • ふらつく/歩き方がおかしい
  • 急に歩けなくなった/立てなくなった
  • いつもと違う動き方をする/物にぶつかる

このような症状がみられたら、
神経科の病気の可能性があります!

主な神経科の病気・疾患

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアが起きる代表的な犬種としてミニチュア・ダックスフンドが良く知られていますが、それ以外にもビーグル、トイプードル、ウェルシュコーギー、シーズー、コッカースパニエル、ペキニーズ、フレンチブルドッグなどでもよく発症します。発症する年齢は、ダックスフンドなど例を挙げた犬種では、3-7歳で発症することが多いです。
椎間板ヘルニアは胸腰部に多いです。脊髄障害の程度により、痛みのみから、運動失調や麻痺、排尿・排便困難まで起こります。重症なケースでは脊髄軟化症など命に関わる場合もあります。
椎間板ヘルニアの治療には、内科的治療と外科的治療があります。軽症な場合は内科的治療となります。
自由に動くことができない狭いケージの中で安静にさせるとともに、消炎・鎮痛剤も使用して痛みを緩和させます。
一方、外科的治療では、手術で脊髄(神経)を圧迫している椎間板物質を取り除きます。

てんかんについて

てんかんは、突然意識を失ったり、痙攣したりするなどの「てんかん発作」を引き起こしてしまう病気です。
てんかん発作は脳の神経細胞の異常な興奮によって生じる、通常は数分間の、一時的な痙攣や意識障害、行動異常として現れます。
ただし、てんかん発作の症状にもいろいろあり、全身性の痙攣であれば、飼い主さんでもわかりやすいですが、痙攣を伴わない発作もあるので、注意が必要です。
発作の様子をスマートフォンなどで、動画として記録しておき獣医師に見せることが発作の診断の手助けとなります。
てんかんの発生率は、人と犬で約0.7〜1%、猫では0.5〜1%と言われています

てんかん発作のタイプと症状を以下に示します。

全般発作

強直間代性痙攣 (けいれん性) 全身が硬く、硬直して横臥になり(強直発作)、その後次第にバタバタと、全身の筋肉が収縮したりして、足が伸びたり縮んだりする痙攣(間大発作)になって終了する。発作中意識はなく、よだれ、尿失禁や便失禁を伴うことも多い。たいていは数十秒から数分。
ミオクロニー発作 (けいれん性) 突然、かつ瞬間的に電気ショックを受けたような、全身がビクビクとなり、後ろに倒れるような、あるいは尻餅をつくような状態になる。1階の発作は一瞬から数秒。
脱力発作 (非けいれん性) 突然、かつ瞬間的に、全身の筋力がなくなり、立っていたり、座っていたりすればストンと全身が床に落ちてしまう。あるいは横に倒れてしまうような発作。伏せていれば頭だけがストンと落ちる。1回の発作は一瞬から数秒。

焦点発作

運動発作 (けいれん性) 身体の一部分(例えば片側の顔や1本の脚)が引きつったり、痙攣したりする。意識はあったりなかったりする。基本的には毎回同じ場所から始まる。通常は数十秒から5分以内だが、まれに長いこともある。
自律神経発作 (非けいれん性) よだれ、瞳孔散大(黒目が大きくなる)、毛が逆立つ、吐く、尿や便を漏らす、下痢するなどの症状が数十秒から数分間続く。
行動発作 (非けいれん性) 全く動かなくなる(不動)、どこか一点を見つめる(凝視)、虫を追うような行動、口をもぐもぐくちゃくちゃする、舌舐めずりやあくび、同じ行動を繰り返す、不安や恐怖を感じているような行動、一定方向に回り続ける、狂ったように走り回るなどの行動を、数十秒から数分間起こす。 その後はけろっとしている。

てんかんの診断

初めててんかん発作らしき症状が出た場合、あるいは数回発作のような症状が見られた場合、(できればその時の様子を撮影した動画を持って)病院へ行きましょう。動物病院ではどのような発作だったのかなど、いろいろな問診を行い、その後身体検査や神経学的検査というものが行われますまた血液検査や尿検査などが行われる場合も多いかと思います。
必要に応じて、レントゲン検査、超音波、心電図検査など。
また二次診療ではMRI検査や脳脊髄液検査、脳波検査などが行われます。

てんかん発作起こす原因をいかに示します。
大きく分けて特発性てんかん、原因不明のてんかん、構造的てんかん、そしててんかん以外の反応性発作です。

てんかんの分類

特発性てんかん 脳に明らかな肉眼的異常は認められず、24時間以上の間隔を空けて2回以上のてんかん発作を起こす病態。犬では6ヶ月齢から6歳(猫では7歳?)までに発症し、発作がない時は何ら異常がないのが一般的。
原因としては、遺伝的な背景が考えられる。品種や家系によって多い場合がある原因遺伝子は不明だが、ごく1部では原因遺伝子が判明しているものがある。
原因不明のてんかん 発症年齢が特発性てんかんで定義される。6ヶ月例から6歳から外れるが構造的病変が認められないてんかん。
または、てんかん発作以外に神経学的検査で異常が認められるものの、MRIや脳脊髄液検査に異常が認められないてんかん。
構造的てんかん MRIや脳脊髄液検査などで脳に明らかな異常が検出され、24時間以上の間隔を空けて2回以上のてんかん発作を起こす病態。
脳腫瘍、脳炎、脳血管障害、脳奇形、脳損傷、認知症、遺伝性変性疾患など
反応性発作 発作の原因が脳以外にあるもの。
低酸素、低血糖、熱中症、高アンモニア血症(肝性脳症)、高尿素血症(腎不全)、各種中毒など

治療について

特発性てんかん 治療はてんかん発作のコントロールのみとなるので、通常は抗てんかん薬の内服で発作の発生を抑えていきます。
構造的てんかん この場合には、原因に対する治療が必要となります。
例えば、脳腫瘍であれば手術や放射線治療、脳炎であれば、免疫抑制治療などを行っていく必要があるため、特発性なのか構造性なのかをMRIと脳脊髄液検査で鑑別することが極めて重要なポイントになります。

人気犬種における病態分布

フレンチブルドッグのみ脳腫瘍(特にグリオーマ)圧倒的に多く、その年齢分布は4歳から15歳です。
したがって、フレンチブルドッグのてんかん発作には注意が必要で、比較的若い年齢でも脳腫瘍の可能性があり、MRI検査にて確認することが重要となります。
他に特徴的なのは、柴犬とミニチュアシュナウザーでは脳炎少ないことが挙げられます。
トイプードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリアでは脳炎だった割合も比較的高く、また脳炎の好発年齢は特発性てんかんと同様に若齢から中齢あるため、これらの犬種でもMRI及び脳脊髄液検査を行うことが重要です。
よって、脳炎や脳腫瘍を起こしやすい犬種では、早期にMRI検査を受けることを推奨しています。

猫における病態分布

猫は犬に比べ、てんかん自体の発生率が低いため、犬より全体の数が少ないです。
特発性または原因不明のてんかんが約65%、続いて脳腫瘍が約14%と犬に類似したトップツーの割合になってますが、犬と異なり脳炎が少なく、奇形や代謝性および外傷性がある程度の割合で存在しているのが特徴です。

猫では、いずれの年齢においても、特発性原因不明のてんかんが多いものの、外傷・腫瘍・奇形といった構造性てんかんの場合も多く、反復性発作が認められる場合は、MRI検査を受けることが望ましいです。

IVETFによるてんかんの診断基準

てんかん診断の国際基準を規定しているIVETFがてんかん発作を起こした犬猫で、MRI検査が推奨される時というのが公表されていますのでご紹介します。

  • てんかん発作の発症、年齢が6ヶ月未満あるいは7歳以上の場合
  • 発作間欠期(発作がない時)に神経学的異常が認められる場合
  • てんかん発作重積(1回の発作が5分以上持続する、または意識回復なしに発作が連続する)あるいは群発発作(1日に2回以上の発作  が出ること)の場合
  • 一度特発性てんかんと診断され、抗てんかん発作薬による治療を始めたが、1つの薬ではコントロールできなかった場合

こんな時どうする?

発作が起こったとき 冷静に対処し見守りましょう。
  • 周囲の危険なものや、小さいお子様などを遠ざける ・動画を撮る、時間を計る、記録する、発作の症状を細かく観察する
  • 身体の周りにクッションなどを置いて、頭や体をぶつけても痛くないようにする
  • 発作が起きて激しく動き回っている場合には、動物に手を出してはいけません。誤って咬まれて人の方が大怪我をする危険性があります。
特に犬猫はベロが長いですから、多少噛んだところで大した事はありません。
発作が終わったら
  • 本人が自ら動き出したり、目がしっかり合うようになるまで静かに見守りましょう。
  • 意識がはっきりと戻ってから、うまく立てなかったり、ふらついてぶつかったりするときは、介助したりなだめたりしてあげたりしましょう。
  • 夏場など発作後ハアハアする場合は、水を含んだタオルなどで冷やしてあげましょう。
  • 発作直後にまだふらつきがあるのに、狂ったように食べたり飲んだりする場合があります。誤嚥性する危険性があるので、意識がしっかりするまでは、ご飯やお水のお皿は下げておきましょう。
  • はじめての時、あるいは群発発作やてんかん発作重積の時は動物病院に連絡して主治医の指示を仰ぎましょう。

UMEZONO’S
神経科治療の3つの特徴

  1. 経験豊富な獣医師による診療体制

    当院では、副院長が獣医神経病学会に所属しており、神経病疾患の専門的な知識と豊富な治療実績を有しております。
    当院で対応が難しい症例についても、高度医療施設と連携体制を築いておりますので、ご安心ください。

  2. 丁寧かつ適切な説明

    てんかんの治療である抗てんかん発作薬による薬物療法は、生涯にわたって投薬が必要になることがほとんどとされています。そのため、お家での投薬方法、発作が起きた時の対処法も含めて、丁寧にご説明させていただきます。

  3. 二次病院との連携

    高度医療施設とも連携体制を築いており、紹介の手続きも全てこちらで行わせていただきます。
    主なご紹介先は、埼玉県川口市にあるどつぶつの総合病院や、東京都武蔵野市にある日本獣医生命科学大学動物医療センターになります。

診療の流れ

受付・問診

受付いただきましたら、スタッフから問診を取らせていただきます。いつからどの様な症状が出ているのかお伺いさせていただきます。痙攣症状や意識の混濁がある場合には、先にお預かりして獣医師が状態の確認と緊急的な処置ををさせていただく場合がございます。その症状に対して他院様での治療歴がある場合は、治療内容などもお伺いできると診療に役立ちます。

身体検査

視診、聴診、触診から全体的な体の状態を確認させていただきます。また、神経学的検査から問題を起こしている神経の部位は、脳なのか脊髄なのか、末梢神経なのかなどを調べます。

検査

動物の種類や品種、年齢、発症時の状態や身体検査・神経学的検査所見からどのような疾患が疑われるのかを念頭に置き、血液検査やホルモン検査、レントゲン検査などご提案いたします。

検査結果の説明・治療方針のご相談

検査所見などから、その原因疾患に対する治療の選択肢をご提示させていただきます。外科治療をした方がいいのか、内科治療でも十分な治療成績が得られるのか。外科治療ならばどのような治療でどのようなリスクや費用がかかるのか、ご説明いたします。その場で手術をご希望の場合は、予定を組み、術前の検査をさせていただきます。また、獣医療の神経疾患の場合、一次診療施設で診断を下せないこともあります。ですが、どんな疾患は除外でき、どんな疾患が疑われているのか、それによりMRIなどを取りに二次診療施設を受診いただいた方がいいのか、麻酔をかけてMRIを撮るよりもまずは診断的な治療の方が良いのかなどをメリット・デメリットを交えながらご説明します。二次診療施設での治療が必要な場合、状況に応じてご紹介させていただくことになります。

お会計・次回の予約

お会計、お薬のお渡しは受付にてさせていただきます。次回の診察日は状態に応じて数日後から1ヵ月を目安にお伝えさせいただきます。

診療料金

検査費用
神経学的検査 1,650円〜
レントゲン検査 4,840円〜
治療費用
痛み止めのお薬 2,200円〜

※価格は全て税込表示となっております。

症例紹介