症例紹介

【皮膚科】犬のアポキルが効かないトイプードルの皮膚炎治療|つくば市のうめぞの動物病院 NEW

皮膚科・耳科

茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、なかなか治らない繰り返すアレルギー性皮膚炎について、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。
当院では、犬のアレルギー性皮膚炎の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。

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【症例】

トイプードル、4歳、避妊済みメス 

【これまでの経過】

1年中体をかゆがって、舐めて脱毛したり、フケが多く出るため、かかりつけの動物病院でアポキル(かゆみどめの内服)を与えたり、薬用シャンプーをしても症状が改善しないためセカンドオピニオンで当院を受診されました。






【診断のポイント】

当院で痒がっている首や腹部の皮膚検査を実施した結果、細菌やマラセチアが多数検出されました。
そのため、足先の皮膚炎は膿皮症(細菌性皮膚炎)と診断しました。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は細菌だけではありません。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
①    アトピー
②    食物アレルギー
③    ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④    抗生物質の長期使用による耐性菌

などが挙げられます。

今回のように膿皮症(細菌性皮膚炎)を繰り返し起こしている場合には、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いた治療を実施しても完治しない場合には、
膿皮症(細菌性皮膚炎)の『根本的な原因』を見つけて、その『根本的な原因』も治療する必要があります。

このワンちゃんは、薬用シャンプーを使用しても、アポキルを内服しても効かない印象があったようです。
長期間首や内股を痒がっていたことで、皮膚に肥厚していました。
薬用シャンプーを使用しても、皮膚炎の症状が改善しないため、アレルギー性皮膚炎の可能性が考えられました。
アトピー性皮膚炎の薬である、アポキルが効かないため、もっとかゆみ止め効果のあるゼンレリアを使用することは当院では実施しておりません。
アトピー性皮膚炎の診断は、典型的なアトピー性皮膚炎以外、当院では、感染症や食物アレルギーを除外する除外診断をして初めてアトピー性皮膚炎と診断しています。
まず、『1年中痒がること』から食物アレルギーの関与を疑いました。
まだ、4歳のため甲状腺機能低下症の検査は実施しませんでした。
抗菌作用のある薬用シャンプーを用いていらっしゃっても、皮膚炎の症状は改善していないため、食物アレルギーを疑いました。
食物アレルギー用の血液検査を実施結果、『食物アレルギー』だと判明しました。

【治療】

基礎疾患である「食物アレルギー」に対しては、血液検査でわかったアレルギー食を用いた食事療法を実施しました。
除去食試験を短期間で済ますため、かゆみ止めとしてアポキルも与えて頂きました。
膿皮症(細菌性皮膚炎)に対しては、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いました。
首や内股の皮膚は肥厚していましたが、ステロイドの外用薬は舐めてしまうとのことで使用しませんでした。






今回の繰り返す膿皮症のワンちゃんは、アトピー性皮膚炎を疑ってアポキルが最初に使用されていました。

当院では、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いても、症状が改善しないため、まず、食物アレルギーを除外するために、食物アレルギー用の血液検査を実施しました。血液検査を実施した結果、『食物アレルギー』だと判明しました。

基礎疾患である「食物アレルギー」に対しては、食物アレルギーの検査で判明した、療法食(アレルギー食)を使用しました。
また、「アトピー性皮膚炎」も併発している可能性があるため、アポキルを用いて症状を落ち着かせて、その後はサイトポイントを用いた治療に移行しています。
ゼンレリアは、アポキルが効かないアレルギー性皮膚炎にも効くと言われています。
しかし、食物アレルギーをしっかりコントロールすることで、プレドニゾロン(ステロイド)やゼンレリアまで使用する必要はなくなり、アポキルで皮膚の炎症をコントロールした後にかゆみ止めの注射(サイトポイント)やステロイドの外用薬の併用でコントロールできていることも多く経験しております。


『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
①    アトピー
②    食物アレルギー
③    ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④    抗生物質の長期使用による耐性菌

そのため、『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』をしっかりつきとめる必要があります。
食物アレルギー用の血液検査は、検査費用も高く(当院では約4万円かかります)、食物アレルギーの血液検査の必要性には賛否両論あります。
しかし、食物アレルギーの血液検査を実施した結果、最適なアレルギー食を選択できることで、皮膚や耳の症状がとても良くなることも多いです。
食物アレルギーの検査を実施して、最適なアレルギー食を用いて1カ月~1カ月半ほど除去食試験を行って、食物アレルギーによる痒みを除外した後に、アトピー性皮膚炎の治療を実施しております。
また、アポキルアトピー性皮膚炎には良く効くお薬ですが、食物アレルギーの場合には効果がないことが多いです。
食物アレルギーを除外していない状態で、アポキルが効かないから、プレドニゾロン(ステロイド)やゼンレリアを使用するのではなく、
まずは、アトピー性皮膚炎と診断する場合には、しっかりと食物アレルギーを除外したり、食物アレルギーの治療を実施することが重要と考えております。

同じように繰り返す膿皮症(細菌性皮膚炎)や、外耳炎で悩まれている飼い主様は、一度当院までお問合せください。


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