症例紹介

【皮膚科】犬のゼンレリアが効かないアレルギー性皮膚炎治療|つくば市のうめぞの動物病院 NEW

皮膚科・耳科

茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、なかなか治らない繰り返すアレルギー性皮膚炎について、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。
当院では、犬のアレルギー性皮膚炎の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。

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【症例】

MIX犬、7歳、避妊メス

【これまでの経過】

5歳の冬から主に内股の皮膚を痒がっていたようです。
かかりつけの動物病院では、アレルギー検査は実施をせずに、食物アレルギー用の療法食を与えたり、新しいアトピー性皮膚炎の薬であるゼンレリアを与えていたようです。
食物アレルギー食を与えたり、かゆみ止め作用が強いゼンレリアを与えていても内股の症状が改善しないため、セカンドオピニオンで当院を受診されました。





【診断のポイント】

当院で内股の皮膚検査を実施した結果、細菌が多数検出されました。
そのため、内股の皮膚炎は膿皮症(細菌性皮膚炎)と診断しました。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は細菌だけではありません。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
①    アトピー
②    食物アレルギー
③    ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④    抗生物質の長期使用による耐性菌

などが挙げられます。

今回のように膿皮症(細菌性皮膚炎)を繰り返し起こしている場合には、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いた治療を実施しても完治しない場合には、
膿皮症(細菌性皮膚炎)の『根本的な原因』を見つけて、その『根本的な原因』も治療する必要があります。

このワンちゃんは、かなりかゆみ止め効果が強いゼンレリアを高用量で投薬していました。
それでも、内股の皮膚には細菌が多数いて、長期的に皮膚に炎症が起きた結果、皮膚が肥厚していました。
アトピー性皮膚炎の強い治療薬である、ゼンレリアが効いていないことから、食物アレルギーや、抗生物質の長期投与による耐性菌による影響を考えました。
当院を受診された時は7歳ですが、5歳から皮膚炎の症状があるため、甲状腺機能低下症に関してははじめからは検査しませんでした。
抗菌作用のある薬用シャンプーを用いて治療を行っても、皮膚炎の症状は改善しないため、食物アレルギーを疑いました。
強いかゆみ止め作用のあるゼンレリアを長期的に内服されていたため、食物アレルギー用の血液検査は、3週間休薬してから実施しました。
食物アレルギー用の血液検査を実施結果、『食物アレルギー』だと判明しました。
かかりつけの動物病院で処方されていたフードも、食物アレルギー用のフードでしたが、検査をした結果処方されたものではなかったため、かゆみを引き起こしていたと考えられました。

【治療】

基礎疾患である「食物アレルギー」に対しては、血液検査でわかったアレルギー食を用いた食事療法を実施しました。
除去食試験を短期間で済ますため、かゆみ止めとしてアポキルも与えて頂きました。
膿皮症(細菌性皮膚炎)に対しては、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いました。
内股の皮膚は肥厚していたため、ステロイドの外用薬もしました。





今回の繰り返す膿皮症のワンちゃんは、アレルギー用の療法食を処方されて、そのフードだけをあげていました。しかし、アレルギー用の療法食を与えていても、かゆみを伴う皮膚炎が改善しないため、アトピー性皮膚炎に対してかゆみ止めの作用が強いゼンレリアを処方長期間処方されていました。
しかし、アトピー性皮膚炎にとてもよく効くゼンレリアを内服し続けていてもかゆみを伴う皮膚炎は改善しませんでした。
当院では、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いても、症状が改善しないため、食物アレルギーを疑って、かゆみ止めのゼンレリアを3週間以上休薬して食物アレルギー用の血液検査を実施しました。血液検査を実施した結果、『食物アレルギー』だと判明しました。

基礎疾患である「食物アレルギー」に対しては、食物アレルギーの検査で判明した、療法食(アレルギー食)を使用しました。
また、「アトピー性皮膚炎」も併発している可能性があるため、アポキルを用いて症状を落ち着かせて、その後はサイトポイントやステロイドの外用薬を用いてプロアクティブ療法を実施しています。
ゼンレリアはアトピー性皮膚炎の治療薬で、とても良く効くと言われています。
しかし、食物アレルギーをしっかりコントロールすることで、強いゼンレリアまで使用する必要はなくなりました。


『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
①    アトピー
②    食物アレルギー
③    ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④    抗生物質の長期使用による耐性菌

そのため、膿皮症を繰り返している場合には、抗生剤の内服を漫然と繰り返すと、抗生剤が効かない耐性菌を作り出してしまうだけです。
そのため、『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』をしっかりつきとめる必要があります。
食物アレルギー用の血液検査は、検査費用も高く(当院では約4万円かかります)、食物アレルギーの血液検査の必要性には賛否両論あります。
しかし、食物アレルギーの血液検査を実施した結果、最適なアレルギー食を選択できることで、皮膚や耳の症状がとても良くなることも多いです。
また、アポキルやゼンレリアはアトピー性皮膚炎には良く効くお薬ですが、食物アレルギーの場合には効果がないことが多いです。
まずは、アトピー性皮膚炎と診断する場合には、しっかりと食物アレルギーを除外したり食物アレルギーの治療を実施することが重要と考えております。

同じように繰り返す膿皮症(細菌性皮膚炎)や、外耳炎で悩まれている飼い主様は、一度当院までお問合せください。


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