【皮膚科】犬のアポキルの効かない皮膚のかゆみ治療|つくば市のうめぞの動物病院
茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、なかなか治らない皮膚のかゆみについて、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。
当院では、犬の皮膚のかゆみの治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
【症例】
シーズー、6歳、未去勢オス
【これまでの経過】
今年の春から体全体をかゆがるようになったようです。
かかりつけの動物病院では、皮膚検査などはせずにかゆみ止めの内服(アポキル)を1カ月処方されたようです。
しかし、皮膚のかゆみが改善しないため、当院にセカンドオピニオンで来院されました。
【診断のポイント】
当院で再度皮膚検査を実施した結果、強いかゆみが出ている肘、かかと、耳介の辺縁にヒゼンダニが検出されました。
そのため、疥癬(ヒゼンダニ症)と診断しました。
かかりつけの動物病院では、皮膚検査も実施せずにアトピー性皮膚炎の治療薬であるかゆみ止め(アポキル)を1カ月処方していました。
なぜ、アトピー性皮膚炎と判断してしまったかというと、
① シーズーはアトピー性皮膚炎になりやすい犬種だから
② アトピー性皮膚炎の場合、春(3~4月)頃からかゆみが強くなることがあるため
アトピー性皮膚炎の場合、かゆみの症状が出る部分は、耳や口の周り、足の関節部分、腋や内股のことが多いです。
しかし、このワンちゃんは体全体をかゆがっていましたが、特にかゆみが強く出ていたのは、肘、かかと、耳介辺縁でした。この部位は、疥癬(ヒゼンダニ症)の症状が出やすい典型的な部位でした。
『繰り返す皮膚病』の『根本的な原因』は複数挙げられます。
『繰り返す皮膚病』の『根本的な原因』は
① 外部寄生虫の感染(ノミ、ヒゼンダニ症(疥癬)、毛包虫)
② 細菌(ブドウ球菌)、マラセチアの感染
③ 食物アレルギー
④ アトピー性皮膚炎
⑤ ホルモン異常
⑥ 腫瘍
などが挙げられます。
そのため、今回のように痒みを伴う皮膚炎を繰り返し起こしている場合には、犬種やかゆみの出だした季節から判断して、すぐにアトピー性皮膚炎だと判断して、アポキルなどのかゆみ止めの内服薬を用いた治療を行うのではなく、かゆみをともなう皮膚炎の『根本的な原因』を見つけて、その『根本的な原因』を治療する必要があります。
アポキルなどの痒み止めの内服で治療するアトピー性皮膚炎の診断方法は除外診断となります。
当院では、下記の順番に除外して、初めてアトピー性皮膚炎の治療を開始しています。
① 外部寄生虫の感染(ノミ、ヒゼンダニ症(疥癬)、毛包虫)
② 細菌(ブドウ球菌)、マラセチアの感染
③ 食物アレルギー
食物アレルギーが原因にも関わらず、アポキルやステロイドなどの痒み止めの内服薬を継続して投薬している方のセカンドオピニオンはとても多いです。
【治療】
皮膚検査によって、疥癬(ヒゼンダニ症)と診断したため、ダニの駆虫薬を投薬しました。
また、皮膚のべたつきがある部分にブドウ球菌の二次感染を認めたため薬用シャンプーを用いました。
皮膚炎を起こしている部分に「ヒゼンダニ(疥癬)」を認めたため、ダニの駆虫薬を投薬しました。
当院で推奨しているフィラリア、ノミ、マダニのオールインワン(ネクスガード)を当院に通院しているワンちゃんの多くは投薬しています。
そのため、ヒゼンダニ(疥癬)はなかなか見かけることはありません。
ヒゼンダニ(疥癬)で治療した今回のワンちゃんはスポットタイプの駆虫薬を使用していました。
多くのスポットタイプの駆虫薬では、ヒゼンダニ(疥癬)を駆虫できません。そのためネクスガードなどのオールインワンの駆虫薬を投薬する重要性を実感しました。
今回のワンちゃんは外部寄生虫(ヒゼンダニ)の感染でしたが、アトピー性皮膚炎の好発犬種だからと、外部寄生虫や食物アレルギーを除外せずに、アポキルなどのかゆみ止めを処方されて、不必要にかゆみ止めを1年中処方されていることが多いです。
アトピー性皮膚炎の診断は、難しく、除外診断となります。
感染症(寄生虫、細菌、真菌)や、食物アレルギー(年齢によっては内分泌疾患)を除外して初めてアトピー性皮膚炎だと診断します。
『繰り返す皮膚病』の『根本的な原因』を見つける必要があります。
『繰り返す皮膚病』の『根本的な原因』は、外部寄生虫、細菌・マラセチアの感染、食物アレルギー、アトピー、ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症)、腫瘍など、一つずつ除外診断することが大切です。
同じように皮膚のかゆみで悩まれている飼い主様は、一度当院までお問合せください。