【皮膚科】ステロイドで治らない犬のアトピー性皮膚炎治療|つくば市のうめぞの動物病院 NEW
茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、なかなか治らない繰り返すアレルギー性皮膚炎について、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。
当院では、犬のアレルギー性皮膚炎の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
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【症例】
柴犬、11歳歳、避妊済みメス
【これまでの経過】
6歳の秋から足先やお腹を痒がる症状が始まったようです。(5年前)
かかりつけの病院では、アトピー性皮膚炎と診断したようで、ステロイドの投薬を始めました。
また、足先やお腹には薬用シャンプーを処方されて、1週間に2回シャンプーを実施されていました。
しかし、1年中痒がる症状が続くためセカンドオピニオンで当院を受診されました。
【診断のポイント】
当院で痒がっている足先やお腹の皮膚検査を実施した結果、細菌が多数検出されました。
そのため、足先やお腹の皮膚炎は膿皮症(細菌性皮膚炎)と診断しました。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は細菌だけではありません。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
① アトピー
② 食物アレルギー
③ ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④ 抗生物質の長期使用による耐性菌
などが挙げられます。
今回のように膿皮症(細菌性皮膚炎)を繰り返し起こしている場合には、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いた治療を実施しても完治しない場合には、
膿皮症(細菌性皮膚炎)の『根本的な原因』を見つけて、その『根本的な原因』も治療する必要があります。
このワンちゃんは、薬用シャンプーで洗って、プレドニゾロン(ステロイド)を投薬して、少しだけ痒みが軽減するものの、エリザベスカラーを装着していても、足先も痒がっている状態でした。
プレドニゾロン(ステロイド)で多少痒みが軽減したことから、アトピー性皮膚炎を疑うことも多いですが、食物による痒みの場合でも、多少ステロイドが効いている転院していらっしゃるワンちゃんを多数みてきました。
アトピー性皮膚炎の診断は、典型的なアトピー性皮膚炎以外、当院では、感染症や食物アレルギーを除外する除外診断をして初めてアトピー性皮膚炎と診断しています。
アトピー性皮膚炎が多い柴犬で、ステロイドが少し効いたから『アトピー性皮膚炎』と診断されていたので、当院では一から除外診断をし直しました。
まず、『1年中痒がること』から食物アレルギーの関与を疑いました。
当院を受診された時、11歳でしたが、6歳の秋から皮膚炎が起きているため、甲状腺機能低下症の検査はまだ、実施しませんでした。
抗菌作用のある薬用シャンプーを用いていらっしゃっても、皮膚炎の症状は改善していないため、食物アレルギーを疑いました。
食物アレルギー用の血液検査を実施結果、『食物アレルギー』だと判明しました。
【治療】
基礎疾患である「食物アレルギー」に対しては、血液検査でわかったアレルギー食を用いた食事療法を実施しました。
除去食試験を短期間で済ますため、かゆみ止めとしてアポキルも与えて頂きました。
膿皮症(細菌性皮膚炎)に対しては、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いました。
今回の繰り返す膿皮症のワンちゃんは、プレドニゾロン(ステロイド)は少し効くので、アトピー性皮膚炎だと診断されていました。
そのアトピー性皮膚炎に対して、プレドニゾロンをずっと内服していても、足先を痒がったり、お腹の膿皮症を繰り返すことが続くため、セカンドオピニオンで当院を受診されました。
当院では、抗菌作用のある薬用シャンプーを用いても、症状が改善しないことや、『1年中』痒がることから、食物アレルギーを疑って、食物アレルギー用の血液検査を実施しました。血液検査を実施した結果、『食物アレルギー』だと判明しました。
基礎疾患である「食物アレルギー」に対しては、食物アレルギーの検査で判明した、療法食(アレルギー食)を使用しました。
また、「アトピー性皮膚炎」も併発している可能性があるため、アポキルを用いて症状を落ち着かせました。
『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』は
① アトピー
② 食物アレルギー
③ ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症など)
④ 抗生物質の長期使用による耐性菌
そのため、『繰り返す膿皮症』の『根本的な原因』をしっかりつきとめる必要があります。
食物アレルギー用の血液検査は、検査費用も高く(当院では約4万円かかります)、食物アレルギーの血液検査の必要性には賛否両論あります。
しかし、食物アレルギーの血液検査を実施した結果、最適なアレルギー食を選択できることで、皮膚や耳の症状がとても良くなることも多いです。
食物アレルギーの検査を実施して、最適なアレルギー食を用いて1カ月~1カ月半ほど除去食試験を行って、食物アレルギーによる痒みを除外した後に、アトピー性皮膚炎の治療を実施しております。
また、ステロイド(プレドニン)はアトピー性皮膚炎には良く効くお薬ですが、食物アレルギーの場合には少ししか効かないことが多いです。
食物アレルギーを除外していない状態で、ステロイド(プレドニン)が効かないから、アポキルやゼンレリアを使用するのではなく、
まずは、アトピー性皮膚炎と診断する場合には、しっかりと食物アレルギーを除外したり、食物アレルギーの治療を実施することが重要と考えております。
同じように繰り返す膿皮症(細菌性皮膚炎)や、外耳炎で悩まれている飼い主様は、一度当院までお問合せください。