【皮膚科】犬の膿皮症治療|つくば市のうめぞの動物病院
茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、膿皮症について、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。
当院では、犬の膿皮症の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
【症例】
トイプードル、9歳、未去勢オス
【これまでの経過】
元々、季節の変り目に外耳炎になっていたようです。
また、中年齢になってから、背中をかゆがり出して、背中の毛は薄くなっていました。
かかりつけの病院でかゆみ止めの内服(アポキル)を長年処方されていました。
背中のかゆみや、外耳炎が改善しないため、セカンドオピニオンで当院を受診されました。
【診断のポイント】
元々、季節の変り目に外耳炎が起きていたことから、アトピー性外耳炎が起きていたことが考えられました。
また、途中から以前効いていた外用の点耳薬だけでは良くならず、一年中外耳炎になって、外用の点耳薬が効かなくなってきたことから、アトピー以外に食物アレルギーや、甲状腺機能低下症などが併発したのではないかと考えました。
皮膚科検査の結果、背中からは細菌やマラセチアが検出されました。
膿皮症(細菌性皮膚炎)やマラセチア性皮膚炎の根本的な原因を特定するために検査をしました。
食物アレルギーの血液検査を実施した結果、食物アレルギーであることがわかりました。
また、内分泌の血液検査を実施した結果、甲状腺機能低下症も起きていることがわかりました。
【治療】
背中の膿皮症(細菌性)やマラセチア性皮膚炎に対しては、抗菌の薬用シャンプーを用いました。
甲状腺機能低下症に対しては、甲状腺ホルモンの内服治療を開始しました。
また、食物アレルギーの検査結果から選んだアレルギー食にフードを切り替えました。
治療開始してから3か月の写真がこちらです。
また、このワンちゃんは背中の皮膚病以外にも、慢性的に外耳炎が起きていました。
お耳の中には、細菌や、マラセチアというカビが増殖していました。
しかし、今回のように『繰り返す外耳炎』の『根本的な原因』は細菌や、マラセチアではなく、アトピー、食物アレルギー、耳ダニ、ホルモンバランスの崩れ(甲状腺機能低下症)、腫瘍などの異物です。
実際、このわんちゃんで長年起きている『繰り返す外耳炎』の『根本的な原因』は、はじめはアトピーだったのが、年齢を重ねて食物アレルギーや、中年齢になって甲状腺機能低下症が、併発したと考えれます。
このワンちゃんのように外耳炎を繰り返し起こしている場合には、細菌や、マラセチアに対しての抗生剤や、抗真菌剤を用いた点耳薬や内服の治療だけを行うのではなく、今回のようにアトピー以外にも食物アレルギーや甲状腺機能低下症といった外耳炎の『根本的な原因』を特定して、その『根本的な原因』を治療する必要があります。
はじめは、頻繁に背中などを抗菌作用のある薬用シャンプーを用いてシャンプー療法をして頂いていましたが、膿皮症や、マラセチア性皮膚炎の根本的な原因である甲状腺機能低下症のコントロールができてからは、月に2回のシャンプー療法でも皮膚は良い状態を維持できています。
また、慢性的な繰り返していた外耳炎も、細菌に対して効果のある抗生剤を調べる薬剤感受性試験でわかった効果的な抗生剤の外用薬(抗生剤の点耳薬)の使用だけでなく、外耳炎の『根本的な原因』の食物アレルギーや甲状腺機能低下症の治療をしてとても改善されました。
そのほかには、アトピー性皮膚炎、アトピー性外耳炎に対してサイトポイントの注射を1カ月に1回接種して、プロアクティブ療法としてステロイドの外用を定期的に使用しています。
今回のワンちゃんは、もともとアトピー性外耳炎があったと思われますが、年齢を重ねて食物アレルギーや、中年齢になって甲状腺機能低下症が併発したと判断しています。
はじめは、季節の変わり目にしか外耳炎、皮膚炎が起きていなかったのに、年齢を重ねるうちに、一年中外耳炎、膿皮症やマラセチア性皮膚炎が起きてしまって、悩まれている飼い主様は、一度当院までお問合せください。