症例紹介

【獣医師が解説】フィラリア症とは?犬・猫に感染する寄生虫病の原因、症状、予防法

茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、犬や猫に感染するフィラリア症について、その原因や症状、予防方法などを詳しく解説いたします。
当院では、フィラリア予防や診断、治療を行っておりますので、予防やご相談をお考えの方はお気軽にご連絡ください。


フィラリア症とは?


フィラリア症は、犬にとって非常に深刻な寄生虫病です。
主に「犬糸状虫」と呼ばれるフィラリアが原因で、蚊を媒介として感染します。
また、フィラリア症は、主に犬に見られる寄生虫病ですが、稀に猫にも感染することがあります。

フィラリアの感染経路

①蚊の刺咬: フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が蚊に吸血され、その蚊が別の犬を刺すことで感染が広がります。
②成虫の寄生:  幼虫は犬の血流に入り込み、体内を移動して、成虫になると心臓や肺の血管に寄生します。

フィラリア症の診断

犬の場合、血液検査(フィラリアの感染キット)で感染の有無を確認します。
また、フィラリアに感染している場合には、超音波検査にて心臓内にいるフィラリアの数を確認することもあります。

フィラリア症の症状と影響


犬がフィラリアに感染した場合、初期段階では無症状なことがあります。
しかし、進行してくるとフィラリアの寄生が原因で心臓病(弁膜症)が引き起こされます。
心臓病(弁膜症)が進行すると、えずく様な咳をしたり、疲れやすくなり、体重が減少します。
さらに、心臓病(弁膜症)が進行すると、心不全になり、胸水や腹水が貯まるようになり、死に至ることもあります。

猫は犬と比べてフィラリアの寄生数が少なく、多くの場合で症状が乏しく、また検査などによる診断が難しいため、発見が困難な病気です。
恐ろしいのは、猫では症状が現れたときにはすでに体は危険な状態で、命が脅かされています。
最近の調査報告では、フィラリアにかかっている猫は意外と多く、室内だけで生活している猫でも感染していることがわかっています。

フィラリア症の予防方法

フィラリア予防薬の種類

フィラリア予防薬には、飲み薬タイプ、スポットタイプ(滴下タイプ)、注射タイプがあります。
①飲み薬:
月に1回投与します。フィラリアだけ予防するものと、最近では、ノミ、マダニの駆虫薬も含んだタイプがあります。
当院のある茨城県つくば市は、緑が豊富なため、ノミや特にマダニが多いため、
フィラリアの予防薬と一緒にノミ、マダニ予防薬も含むオールインワンタイプの予防薬を推奨しております。

②スポットタイプ:
皮膚に塗布するタイプの予防薬。
飲み薬タイプのお薬を内服するのが難しいワンちゃんや、食物アレルギーがあるワンちゃんが服用されています。

③注射タイプ:
1年に1回の注射で予防できる長期型の予防薬です。1年に1回の注射で、フィラリアの予防はできますが、ノミ、マダニの予防は別にする必要があります。
また、混合ワクチンや、狂犬病ワクチンとは同じ日に注射ができません。

フィラリア予防のタイミング

フィラリアの予防時期として、当院では5月〜12月の8ヶ月間を推奨しております。
フィラリアの寄生虫の特徴として、蚊に刺されてから1ヶ月以内に駆虫をすれば、フィラリアが心臓にまで到達して寄生することを防げます。
当院のある茨城県つくば市では、蚊が4月中旬から発生して、11月中旬まで出現しています。
そのため、当院では、蚊が出現してから1ヶ月以内の5月から、
蚊がいなくなってからの1ヶ月以内の12月までフィラリアの予防薬を投薬することを推奨しております。
今後、暖冬のため冬も蚊が出現する場合には、一年中フィラリア予防が必要になる可能性もあります。

犬猫の予防・健康診断についてはこちら

フィラリア予防に関するよくある質問

Q.フィラリア予防薬はどのくらいの頻度で与えるべきですか?

A.当院では、毎年5月から12月の8ヶ月間、毎月1回の投薬をおすすめしております。

Q.猫にもフィラリア予防が必要ですか?

A.室内のみで飼育している猫ちゃんでも、フィラリアに感染してしまうことも報告されているため、
当院では猫ちゃんのフィラリア予防もおすすめしております。

Q.フィラリア予防薬を使わなかった場合、どうなりますか?

A.フィラリアの予防をされず、フィラリアに感染してしまった場合には、適切な治療を行わなければ、心臓病(弁膜症)になって亡くなってしまうので、フィラリアの予防は必ず実施して頂くことをおすすめしております。

まとめ

フィラリア症は、犬や稀に猫にも感染する危険な寄生虫病です。
蚊を媒介に感染し、進行すると心臓や肺に深刻な影響を与えることがあります。
しかし、フィラリア症は予防が可能な病気であり、毎月の予防薬の投与によって効果的に防ぐことができます。
犬だけでなく、室内飼いの猫にも予防が推奨されるため、飼い主として大切な家族を守るためにも、しっかりとしたフィラリア対策を行いましょう。