犬の血尿の原因とは?考えられる病気や治療法について獣医師が解説|茨城県つくば市のうめぞの動物病院
茨城県つくば市・土浦市・牛久市・つくばみらい市・阿見町の皆様、こんにちは。
茨城県つくば市にあるうめぞの動物病院です。
今回は、犬の血尿について、原因や考えられる病気、治療法について解説していきます。
当院では、犬の血尿の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
犬の血尿とは
血尿とは尿に血液が含まれているものを指します。泌尿器は腎臓からはじまり尿管、膀胱、尿道までを指し、それらを経て体外に尿を排泄します。このどこかに出血する原因があった場合に、血尿が発生します。
犬の血尿の原因と考えられる病気
①膀胱炎
犬の血尿の原因で最も多いのが膀胱炎です。
もともと健康な犬の膀胱内で細菌が確認されることはほとんどありませんが、主に尿道口から細菌が侵入し、膀胱内で増殖すると、膀胱炎が生じます。
②尿石症
泌尿器に感染する一部の細菌によって尿がアルカリ性になると、ストルバイトと呼ばれる成分の尿石を作り出します。ストルバイトは顕微鏡で確認できるくらいの小さな結晶ですが、多数存在すると徐々に拡大し、直径数センチほどになることもあります。
ストルバイトの次に犬の尿石症の原因となるものにはシュウ酸カルシウムによる結石があります。こちらも結晶が組み合わされて結石が作られますが、ストルバイトほど結石が大きくならない傾向にあります。
いずれも結石が存在することで、膀胱や尿道の粘膜を刺激し出血させます。ただし、尿道に結石が入り込んでしまった場合には血尿が見られないケースもあります。尿道を閉塞してしまう恐れがあり、緊急での治療が必要となります。
③泌尿器の腫瘍
泌尿器に生じた腫瘍が原因の場合があります。膀胱や尿道を中心に発生しやすい腫瘍の代表例は「移行上皮癌」と呼ばれるものです。腫瘍細胞は、膀胱や尿道が持つ機能や秩序を無視して増殖していくため、出血を伴うことがあります。
④オス犬特有の原因
前立腺疾患により、血尿が生じることがあります。前立腺は雄犬にだけある器官で、特に去勢手術を行っていないワンちゃんで異常が起きることがあります。
⑤メス犬特有の原因
雌犬の場合、膣炎や子宮蓄膿症、子宮内膜炎などの生殖器疾患により血尿を起こすことがあります。
血尿と勘違いをしやすい犬の病気
①避妊手術を実施していないメス犬のおりもの
避妊手術を行っていない犬は、周期的に発情出血が見られます。発情期間中は陰部から出血しますが、その際、尿に血液が混入することがあります。また、子宮に炎症が生じている場合にも、子宮からの出血が尿と一緒に排出される場合があります。
②血色素尿
血色素尿がみられる主な要因に「溶血」があります。溶血とは、赤血球が破壊されヘモグロビンが外に出ている状態をいいます。感染症や病気や中毒などにより赤血球が破壊され生じます。例えば、免疫介在性溶血性貧血や、タマネギ中毒などが代表的です。
犬の血尿を見つけたら
血尿を見つけたら動物病院を受診して検査を受けて下さい。
また、血尿の原因を確認するために尿検査を実施する必要があるため、尿を未使用の容器に直接採尿できる場合には、尿も一緒にご持参頂ければと思います。
犬の血尿の治療法
血尿の原因を確定するために、尿検査やエコー検査、レントゲン検査を行います。
①膀胱炎
細菌性膀胱炎に対しては、抗菌薬を使っすた治療を行います。まず、膀胱炎の原因になりやすい菌に効果的な抗菌薬を使い治療を行います。効果が認められなければ、細菌培養試験・薬剤感受性試験を行い、最適な抗菌薬に変更します。
もし、費用的に問題がなければ、細菌培養試験・薬剤感受性試験をはじめに行ってから抗菌薬を選択すると、より効果的な治療を行うことができます。
②尿石症
ストルバイトによる結石の場合には、療法食に変えることで、結石を溶解できる可能性があります。また、ストルバイト結晶・結石は、尿路感染に起因することが多いため、細菌培養試験・薬剤感受性試験を行い、最適な抗菌薬を用いた治療も同時に実施します。
シュウ酸カルシウムが原因の場合、療法食で結石を溶解することはほぼできません。そのため、膀胱内の結石は、手術で摘出しなくてはなりません。膀胱結石摘出後は、結石ができにくい療法食を与えて、再発しないように治療を継続します。
③泌尿器の腫瘍
泌尿器の腫瘍は、腫瘍のタイプによって治療が異なります。例えば、移行上皮癌では腫瘍に対して効果があるお薬を試してみます。
犬の血尿の症例報告
犬種
シェルティー
年齢
5歳
初診時の症状
血尿を伴う頻尿
治療法
尿検査や、レントゲン検査、エコー検査によって膀胱内に多量の膀胱結石を確認しました。結石の量が多量のため、外科手術によって結石を摘出して、その後療法食で再発しないようにコントロールしています。