チェリーアイ・眼科・犬

今回は、瞬膜腺脱出(チェリーアイ)の犬が来院したのでその内容について書きます。

まず、瞬膜とは人にはない目の構造です。目の内側に位置しており、結膜の内側からヒダ状に伸びています。
犬や猫が寝起きの時に、目の内側から出ている膜が瞬膜です。
瞬膜の働きとしては、角膜の保護したり、涙を作ったり、免疫機能を担っています。
瞬膜の内側には、涙を分泌する瞬膜腺があります(犬では、涙の35~50%を分泌すると言われています)。

sDSCF2401.jpg
瞬膜腺脱出は、瞬膜の異常の中で最も多い病気です。
瞬膜腺が瞬膜の内側から飛び出していて、その見た目がさくらんぼのように見えるのでチェリー(さくらんぼ)アイと呼ばれています。
明らかな原因は不明なのですが、瞬膜腺と周囲の組織との結合が弱いために、瞬膜腺の固定が不安定になって飛び出していると言われています。
ビーグル、ブルドッグ、コッカースパニエル、ペキニーズ、ラサアプソなどの犬種に起きやすいと言われ、最近ではチワワなどにも多く見られるようです。
また、猫にもまれに起きます。

以前は、瞬膜腺脱出の治療には瞬膜腺そのものを切除する方法が取られていました。
しかし、瞬膜腺の研究が進んで瞬膜腺の涙を分泌する機能の重要性が示唆され、瞬膜腺そのものを切除した場合には、人で言う「ドライアイ」を引き起こすことがあることが言われています。
そのため、現在では瞬膜腺を温存する方法が最も適切な手術法であると言われています。

当院でも、上記の瞬膜腺を温存する方法で手術を行っています。
sDSCF2421.jpg
写真のように、手術前にはさくらんぼのように飛び出していた瞬膜腺も、手術後には元の位置に整復できました。

 

詳細は当院までお問い合わせください